奨学金は債務整理の対象になる？｜債務整理の条件とは
奨学金は、家庭が経済的に困窮しているため、学業に専念することができないといった事情にある学生の進学を支援するための制度であるというのが本来の趣旨です。しかし、学生の間はよいとしても、卒業をした後は仕事をして収入を得ながら、利子を含めて定期的に返済をしなければならず、もともと給料が少ない状態からキャリアを積み重ねる新卒者にとっては、たいへんな負担になっています。にもかかわらず、わが国での奨学金のほとんどを取り扱っている日本学生支援機構では、返済分の滞納があると、裁判所を通じて支払督促とよばれる法的措置を申し立て、個々の事情を考慮せずに一括返済を迫るということが常態化しているようです。このような場合ですが、奨学金の返済のために生活に困るようであれば、通常の借金などと同じように、債務整理という方法が使えます。債務整理というのは、借金などの債務の支払いが難しくなった人が、債務の減額や免除を求める手続きのことです。ただし、通常の借金の場合とは異なり、かならず家族や親族が連帯保証人とされてしまっているところがやっかいです。債務整理によってもし本人の債務がなくなったとしても、これら連帯保証人のほうに対して、本人に代わって支払うようにという請求が来てしまうため、結局は誰かが支払わざるを得ないという問題があります。そのため、弁護士などの法律の専門家とよく話し合い、連帯保証人のほうも同時に債務整理を申し立てるなどの対抗策を講じておく必要があります。
奨学金は授業料や学業への利用を目的とする、金銭の給付･貸付制度の事です。日本の場合は殆どのケースが貸与の形式となる為に、就職後にその収入を原資として返済を行う必要があります。故に、就職先の業績悪化といった何らかの理由で収入源･職を失うといった事態になると、途端に返済が滞り兼ねないというリスクも存在しています。
ところがそうした状況に至ってしまった場合でも、個々の返済能力に応じた猶予等の対応は基本的にしないというのが奨学金の制度的な特徴となっています。概ね9ヶ月の延滞で裁判所に支払催促を提起され一括返済が求められるので、そうなると益々返済が厳しくなります。そこで考えたいのが、債務整理の利用となります。
その場合は奨学金支払い自体の減額が困難である事から、他の方向からの債務整理のアプローチを模索する事となります。方法の1つとして自己破産の申し立てが考えられ、免責が認められれば奨学金の返済義務も消失する事となります。財産がある場合は配当等の問題が出て来ますが、通常は奨学金返済の滞りがある状況では多額の財産がある事は考え難い事ですし、延滞が起きる段階でクレジットの加入制限等が課されている事も多いので意外に新たなリスクが少ないという利点もあります。
もう1つの方法としては、収入はある程度確保出来ているが他にもローン等を抱えていて資金繰りが苦しいという状況で考えられる、任意整理があります。この場合は債務整理の対象を奨学金以外のところに求め、選択的に整理する事で現状の生活をより維持出来る事から信用面の傷が小さくて済むという利点があります。但し当然ながら、奨学金返済は継続する必要があります。
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